教育費の支出は、「家計の5〜10%以内」におさえるべき、とよく言わます。塾や習い事など、いろいろかけたくなることもありますが、多くても収入のおよそ1割ぐらいまでと考えるのがいいでしょう。
そして、親として悩ましいのは「どこまで教育費を出すか?」という問題。
最近は高校や大学が忙しくて「なかなかアルバイトができない」という事情もあり、学費以外の費用を親が出すことも珍しくありません。
今どき教育費事情。どこまでかける?
子ども一人にかかる教育資金は、一般的に約1,000万円といわれています。
調査データによると、高校までオール公立なら約500万円、その後私立文系大学に進学するとさらに700万円ほどかかります。
オール公立 | 高校のみ私立 | オール私立 | |
小学校 | 192万円 | 192万円 | 959万円 |
中学校 | 146万円 | 146万円 | 421万円 |
高校 | 137万円 | 290万円 | 290万円 |
高校まで総額 | 476万円 | 629万円 | 1671万円 |
大学(私立文系) | 703万円 | 703万円 | 703万円 |
大学まで総額 | 1179万円 | 1332万円 | 2374万円 |
文部科学省「平成30年度子供の学習費調査の結果について」(PDF)
日本政策金融公庫「令和2年度 教育費負担の実態調査結果」(PDF)
公立に行かせるのか私立でもOKなのか、大学には行かせるのか、自宅外でも大丈夫なのか…など、少なくとも夫婦の間ではすり合わせておくのが大切です。
とはいえ、思い通りの進路にならない場合も
当然ですが、進学する本人であるお子さんが、「私立文系で考えていたのに理系志望だった」「高校から私立に進んだ」など、想定していた進路には進まないという場合もあります。
「ここまでは出せるけどそれ以上は奨学金で」など、ぜひ親子間でも話し合ってみてください。
教育費以外にかかってしまうお金も多い
子どもの教育費として高校の学費や大学資金はしっかり貯めていても、予想外にいろいろな出費があって焦ってしまうこともあります。
成人式費用
とくに女の子は、振袖のレンタルや写真撮影代で数十万円がかかります。着物の種類によっては百万円レベルになることも。
教習所
自動車の免許を大学生の間に取るという子も多いと思います。バイトするのも難しいような忙しい学部の学生は、親に出してもらうことが多いようです。
パソコン
今の大学生はパソコンの購入が必須です。新しくノートパソコンを購入しなければならず、予想外にお金がかかったというケースも。
教育費貧乏にならないために
子どもの教育費に関する考え方は個々の価値観によって異なりますが、以下のポイントを考えながらバランスを見つけましょう。
目標を明確にする
子どもの将来の進路や目標を考慮して、必要なレベルの教育を受けるための費用を設定しましょう。
たとえば習い事をするにしても、「どのくらい習熟するまで続けるのか」という目標を決めておかないと辞めどきが分からなくなってしまいます。
また、「まわりがやってるから」「誘われたので何となく」と増やしてしまいがち。限られた教育費の中で習い事をするなら、明確な目標を決めたり期間を決めて挑戦するのが良いでしょう。
教育費だけが教育ではない
子どもの成長においては、学校や塾だけが学びを受けられる場ではありません。
たとえば家族で史跡を見に行く、美術館めぐりをする、自然がたっぷりの中でキャンプをする…。これらはレジャーですが、子どもの学びに大きく影響しますよね。
最近では「体験」を重視する教育方針が叫ばれています。レジャーや趣味など、一見すると遊びのような部分も教育といえるでしょう。
塾や習い事などの教育費ばかりに家計をあてるのではなく、こうした「体験」に着目してみてもいいのではないでしょうか。
教育の質とコストのバランス
高額な学費が高品質の教育を保証するわけではありません。
先生と子どもの性格の相性もあるので、「費用をかければすばらしい教育が受けられる」ということはないですよね。
教育の質を見極めながらコストを考慮することが大切です。
子ども自身にも教育費について話す
子どもが中学生や高校生などある程度大きくなったら、家計の状況について共有するのも大切です。
親としては恥ずかしさや後ろめたさもあるかもしれませんが、「十分な資金があると思ったのに実際はなかった」という場合、せっかくの進路や夢を諦めなければいけない場合も。
最近は給付型の奨学金などのサポートが増えているので、お金がない場合はそういったものに応募すればチャンスが巡ってくるかもしれません。